やっぱり今年は特別暑いですね。
冷房は得意ではない方ですが、今年は冷房に助けられている毎日です。
助けられてはいるものの、自然に流れてくる涼しい風には「気持ちよさ」の面では敵いません。
「風通し」・・・風が通り抜けること。
建物の中で風が通り抜けるには道が必要です。
機械的に換気扇などで作り出すこともできますが、
「気持ちいい」風通しは、外から窓を抜けて室内を通りまた窓から出ていく方です。
「通風」とも言います。
今や住宅に省エネルギーを求めることは当たり前になっていて、
建物を構成する要素それぞれに高性能が求められる中、
「通風」とは、数字で表すことができない感覚的なものであるように聞こえます。
それでは省エネ住宅には不必要で、大袈裟に言えば時代に逆行しているようにも感じますが、
「熱や湿気を排出し快適感を向上させる」ためのきちんとした調整手法として位置づけられているのです。
部屋の大きさや窓の大きさなどから計算をし、その部屋が通風できる部屋かどうかということを評価します。
それが冷房設備の稼働時間にも影響があるという観点から、省エネに繋がると。
ただ実際は、その建物の外部環境や周辺建物などの状況にも大きく左右されるため、
建物だけの条件で判断することは難しく、その算定結果自体もあくまで建物の性能を評価するたくさんの要素の一つということは言うまでもありません。
しかし「風通し・通風」というものが、心地よさといったようなどこか漠然とした感覚だけのものではなく、
「省エネ」に有益な手法だと考えられていることが分かると思います。
先日こちらでもご紹介しました、前川國男邸の室内からの写真です。
窓が大きき取られているので、日差しへの対処は必要でしょうけれど、
「風通し」という観点で見ると、気持ちいい時間が流れていきそうですよね。
これからも当分続くであろう熱帯夜ですが、
だからこそ一時でも涼しい風が通り抜けることのありがたさを際立って強く感じます。