こんにちは。営業設計の竹村です。
今回のブログでは「左官」について書いてみたいと思います。
左官といえば、昔から日本建築を支えてきた工種の一つです。
しかしながら、現在では腕の良い左官職人も少なくなってきています。
左官は多種多様ですが、大きく分けて土壁(粘土)系と、漆喰系に分けられます。
こちらは、京錆土という京都で採れる赤土を使った土壁の和室。
色合いはもちろん、風合いも大変良く、上品で味わい深い空間になります。
こちらは漆喰。原材料は消石灰です。そもそも、漆喰という原材料はありません。
消石灰に糊やスサを混ぜたものを漆喰と呼びますが、消石灰は空気中の二酸化炭素を吸収して、時間をかけながら石灰石に戻っていきます。
よく漆喰と比較される珪藻土は接着剤や固化材を混ぜないと固まりませんが、消石灰が原材料の漆喰は、この炭酸化反応によって自ら固まっていきます。
「左官」は「さかん」や「しゃかん」と呼びますが、なぜか新潟では「しゃがん」と呼びます。
左官は多様性のある工種で、例えばその地域によって原材料の採取地も異なりますし、骨材や藁スサ等の種類も違います。水を大量に使う仕事ですから、気候による影響も大きくなります。左官職人は昔から、地域に合った自分好みの材料を作って、それを塗ってきたわけです。
ですから左官工事は本来規格化できず、大量生産や商業化とは別次元の工種だったわけですが、それが昨今、メーカーが作り出した「既調合漆喰」によって全国どこでも画一化されてしまい、左官職人の手から材料作りが離れてしまい、腕を振るうにも振れない状況にあると思います。
つまり、どこの左官屋さんに頼んでも既調合漆喰であればある程度の品質は確保できるわけで(コモディティ化)、それで満足されるお客様もいらっしゃることは事実です。
それではこの先、左官職人の技術は衰退する一方ではないか。伝統技術を残さなくても良いのか。
だからこそ私たちは、既調合漆喰は使わず、もう十数年も前から現場で消石灰と糊とスサを調合して漆喰を作っています。
漆喰の配合も、研究に研究を重ねた独自のもので、少しづつブラッシュアップしながら使ってきました。それでも日々、漆喰を追求しています。
例えば今度、漆喰に混ぜる骨材の粒径を1分(3㎜)小さくしてみたらどうなるか、左官屋の佐藤さんにサンプルをお願いしています。
仕上げ方も、壁の面積が大きい場合と小さい場合で、模様の付け方を変えています。これも左官屋さんとノモトホームズのオリジナル。
左官屋さんが自らこだわって材料を作り、腕を振るえる環境を残していくのも、設計者や工務店の使命だと思っています。