こんにちは。営業設計の竹村です。
先日『おばけのバーバパパ』を子どもに読んでいたのですが、1ページ目に描かれていた家の断面の絵が魅力的だったので「あれ?もしかして作者は建築出身?」と思って読み終わってから調べてみると、やはり作者は元建築家でした。どおりで!
バーバパパに出てくる家の絵がなんとも良くって、木窓の丁番なんかもしっかりと描かれているところに作者のこだわりを感じました。これって職業病かもしれませんが、魅力的な家の断面図をみているとワクワクします!
さて、今日はリビングとダイニングについて想うところを書きたいと思います。
リビングとダイニングは、隣接したゾーニングになることが多いです。リビングはくつろぐところで、居間と呼んだりもします。ダイニングは食事をするところで、食堂と呼んだりもします。
リビングとダイニングは今や当たり前というか、日本の間取りの定型みたいになっていますが、もともとは食事をする場所と一家だんらんの場所が「茶の間」としてひとくくり(兼用)になっていました。そうです、サザエさんに出てくるあの部屋です。それが1960年代の住宅政策で戦後の住まいの原点となる「2DK」という概念が生まれ、そこにリビングが加わっていつしか「nLDK」になったわけです。「2DK」という概念が開発されたのは、日本の住宅史においても有名な話ですが「nLDK」がいつ誕生したかは定かではありません(所説あるようです!)。1960年代の住宅不足の時代に比べ、その後日本が経済的に発展し豊かになっていく中で、住宅の専有面積が増えていったということも「nLDK」が生まれた一因としてあるかもしれません。
リビングとダイニングにおけるそれぞれの「居方」は異なります。ちなみに「居方」という言葉は、近畿大学の鈴木毅教授が提唱されていて「ある場所にどう居られるかという切り口から、都市・居住環境の質や目標を語るための概念」です。
例えば、AさんはリビングではTVをみたり本を読んだり座位の姿勢で過ごすことが多く、ダイニングは座位の姿勢もありますが時には立ったり、手を動かしたり話をしたり食事をします。リビングが「静」に対し、ダイニングが「動」。
リビングの天井は低くし、窓も腰窓にして障子で直接光を絞って明るすぎない落ち着ける場所にします。ダイニングには吹抜けを設けて、窓も掃き出し窓で大きく明るい空間にします。このように空間に変化を設けることで、居方に合わせた住環境をつくることができます。
Bさんはリビングは明るく開放感がある方が良くて、ダイニングは家族が集まってゆっくり食事の時間を楽しみたい、食事が終わってもダイニングチェアに座ってお酒を飲んだり時には仕事をしたりします。その場合は、リビングの天井は勾配天井にしたり、梁を見せてできるだけ天井高さを上げたりして空間のボリュームを大きくし、ダイニングは天井を低くして籠った感じを出すことが効果的です。総二階の場合でリビングとダイニングに天井高さの変化を付けられない場合は、ダイニングにはペンダントライトを設けて求心性を生み、リビングには畳コーナーを併設して、さらにくつろげるスペースをつくります。
このように書きつつも、個人的にはリビングもダイニングもどっちも落ち着いた空間の方が好みだったりしますし、それから必ずしもリビングとダイニングを設けなければならないわけではなく、私はリビングが無くてダイニングがそのままくつろぐ場所になっていても全然OKだと思います。どちらかというとリビングに家族が集まって団らんを過ごすよりも、畳スペースや窓辺、階段等のいろんなところが居場所になって、それぞれが好きな場所で思い思いに過ごす住まいの方が好きだな~と思ったりもします。
これから家づくりを検討されているみなさんは、リビングとダイニングでの理想の居方に思いを巡らせてみてください。