コラム
佐藤左官工業所×ノモトホームズ
ノモトホームズの家の壁や天井の仕上げといえば「漆喰」。
古くから日本の家づくりに使われてきた、ノモトホームズがこだわる素材のひとつです。
今回は、その漆喰仕上げを手掛けてくださっている佐藤左官工業所の佐藤亮さんに
漆喰の魅力や左官職人の仕事の面白さなどについて話を伺いました。
対談メンバー
-
野本一隆ノモトホームズ代表取締役
-
佐藤 亮約90年続く佐藤左官工業所の3代目
漆喰の良さは日本の気候風土に合っているということ。(佐藤)
野本 佐藤さんが考える漆喰の良いところは何でしょうか。
佐藤 日本に合っている、ということですね。お城も漆喰で建てられているように、日本でずっと昔から使われ続けている壁の材料といったら漆喰。最近は、いろいろな壁の材料が出てきて、何十年保証といったうたい文句もありますが、漆喰は何百年も持ちます。住む人にとって良い点だと思うのは、抗菌や消臭、調湿効果。あとは年数が経つほどにどんどん硬化して丈夫になります。それから、飽きがこないということですね。
野本 漆喰は本当に飽きないですね。お城とか古い建物に漆喰があると、思わず見たりしますか。
佐藤 見ます。古い農家さんの家にも、よく漆喰がありますね。他の材料であっても、壁が塗ってあると、どうしても見てしまいます。最近はいろいろな店舗の内装や外装に、ポイントで壁を塗ってあることが多くて、つい見ちゃいますね。
野本 先日も新しい塗り壁を試してみたいという話をしてらっしゃいましたが、常に探求心をお持ちだと感じました。
佐藤 好奇心ですね。新しいもの好きというのもあって、新しい材料も一度は試してみたくなる。お客様は喜ぶかなとか、新潟の気候に合っているかなと思いながら試します。でも、最終的には、やっぱり昔ながらの壁に戻ってきますね。
漆喰を選んだお客様が「快適に暮らしています」と。(野本)
野本 うちの漆喰の特長って何かありますか?
佐藤 オリジナルで材料を調合するのはノモトさんだけですね。お付き合いも10年以上になりますが、漆喰は最初から配分を決めて調合してやっていらっしゃる。普通は既製品を使うことがほとんどで、ここまで品質にこだわっているところはあまり無いと思います。
野本 お客様のなかには、「快適に暮らしてますよ」とおっしゃる方も多いんですよね。
佐藤 そのようですね。ポイントはノモトホームズさんが全て自然素材でつくることにこだわっているからだと思います。床や柱には無垢材を使い、建具も木で作って、壁に漆喰を使ってという全てが合わさることで、お客様に快適な空間ができているんだと感じますね。本当にノモトホームズさんの建物は、全てが合わさっていい塩梅になっていると思います。
野本 ありがとうございます。
お客様から直接、感謝の言葉をいただくと本当にうれしい。(佐藤)
野本 佐藤さんが左官職人になったきっかけは?
佐藤 父から、どうしても継いでくれと言われたからです。それが24歳のときで、ホテルマンになってやっと軌道に乗ってきたところだったので、実は最初は渋々でした。でも左官の仕事自体は子どものころから父の姿を見ていましたし、高校生の頃はバイトとして手伝ったりもしていました。
野本 左官の仕事の面白さは?
佐藤 毎日違うこと、でしょうか。その日、その日で仕上がりが違うし、ひとつの現場が終われば、次はこうやってみようとか、常に考えて仕事に向かっています。自分で納得できる仕事が出来ているかというと、まだまだだと思うのですが、お客様に喜んでいただけることがやりがいですね。
野本 仕事をしていて、うれしいと思うのはどんな時ですか。
佐藤 ノモトホームズさんの家のメンテナンスで、お客様のところに伺うことが多いんですが、その時にお客様から「漆喰はいいですね」と言われるんです。それが本当にうれしいですね。以前は仕事でお客様に合うということはほとんどなかったんですが、ノモトホームズさんの現場に入るようになってから、お客様とコミュニケーションを取る場面が増えました。ノモトホームズさんのお客様は若い方も多いので、その世代の声も聞けるのは貴重ですね。メンテナンスって家を建ててから1年とか3年とか経ってから伺うのですが、そこで「漆喰の家でうれしいです」なんて言われると、うれしくてニヤニヤしちゃいますよ(笑)
漆喰の未来のためにも、左官職人の後継者を増やしてほしい(野本)
野本 最近は職人が少なくなってきたと言われていますが、技術の継承などはどう考えていますか。
佐藤 弟子の希望者がいれば受け入れて、すぐに教えて即戦力になってもらいたいんですが、左官屋は本当に”なり手”がいないんです。原因としては、そもそも若い子が左官屋さんを知らないということだと思うんですよね。
野本 左官屋という仕事が、外から見えていないんじゃないかな。
佐藤 そうですね。確かに職人のなかでも大工さん、ペンキ屋さん、設備屋さんなどは比較的若い人も入ってきている。社長のおっしゃる通り、見える職種なんですよね。左官屋も若い子に知ってもらうために、何かしなければとは思いますね。
野本 You Tubeに動画を上げるとか、若い世代の方に知ってもらわないとね。
佐藤 そうですね。どこかの県で、左官屋さんが自分たちの仕事を知ってもらうために駅前でパフォーマンスしているという話題もありました。何か必要だとは感じています。
野本 佐藤さんが今後やってみたいことは?
佐藤 造作モルタルもやってみたいですし、立体感のある壁も作ってみたいです。平らな壁に立体的な模様をつけるというのは昔からあって、漆喰に砂をいれたもので少しずつ龍の模様を作ったりする技があるんです。時間をかけて少しずつ少しずつ仕上げていく、なんてことをやってみたいですね。
野本 それは面白そうですね。これからも期待しています。