敷地は新潟市中央区山二ツに位置し、閑静な住宅街の一角にある。周囲を隣家に囲まれた敷地ではあるが、西側には用水路とそれに沿うように道路があることから、眺望を確保できる。用水路の向こう側には、隣家の豊かな庭や遠くまで続く通りがあるため、それらの景色に対してリビングの開口部をパノラマ状に設けた。通常リビングの窓は掃き出し窓にしがちであるが、山二ツの家では床から約30㎝上げた位置からの腰窓とし、明るすぎず暗すぎないように光のコントロールを行っている。窓際に設けたベンチは、下が本棚や収納になり、窓辺に座って本を読んだり団らんが過ごせるよう、リビングやダイニングはもちろん、書斎スペースや窓辺、階段など、家中のいたるところに居場所を設けている。
漆喰よりもより吸放湿効果の高い「中霧島壁」を左官仕上げに使っている。
オークとシナでつくる造作キッチンや食器棚、キャビネットで空間をつくり、間仕切り建具を可能な限り無くし、建物全体がひとつながりのオープンな間取りにすることで、どこにいても家族の気配を感じられる。照明計画は最低限の灯りとすることで、落ち着きのある内部空間になっている。
大きな屋根は、家族の暮らしを大きく包み込み、大らかな暮らしが営まれることを表している。