こんにちは。営業設計の竹村です。
6月に発売となりました新潟の住宅情報誌『ハウジングKomachi』に掲載させていただいた「粟山の家」の写真を、先日施工事例にアップしました。掲載している7点の写真のうち数点の写真には建主さんが写っているのですが、ホームページにアップするにあたり、建主さんが写っている写真を載せても良いかご相談させていただいたところ「良いですよー!」と快くご了承いただきました。生活感の無い竣工写真ももちろん良いのですが、やっぱり生活者あっての住宅、人が写るともっとよくなりますね。
取材時には私も同席させていただいたのですが、建主さんの暮らしのワンシーンを垣間見ることができて(例えば書斎やデッキ、キッチンの使われ方など)、やっぱり私たちの仕事は「暮らしを設計すること」なんだなぁと改めて思っています。
建築家・吉村順三さんの有名な言葉に「建築家としてもっとも嬉しい時は、建築ができ、そこへ人が入って、そこでいい生活が行われているのを見ることである。日暮れ時、一軒の家の前を通った時、家の中に明るい明かりがついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら、それが建築家にとってはもっとも嬉しい時なのではあるまいか」というものがあります。私も以前、設計に携わらせていただいたお住まいの前を夜に車で通ったことがありますが、窓から通りにこぼれる電球色の温かい灯を見て、すごく嬉しい気持ちになりました。
以下、施工事例に記載したコンセプト文を載せておきます。
新潟市の閑静な住宅街。3方が道路に面した角地に建つ「粟山の家」は、黒く塗装した板張りの外壁が特徴的な建物である。敷地は約60㎝の高低差があったため、一部を高低差を活かしたスキップフロアとし、1階にはビルトインガレージを設けている。中庭を囲み、敷地の形状に沿って配した板塀には外壁と同じ杉板を使用しているが、それぞれ種類の異なる塗装を行っている。月日を経ることでそれぞれが経年美化していき、竣工当初とは違った表情が町並みに対して滲み出ていく仕掛けとした。
板塀で囲われた中庭は雑木と自然石を用いた作庭とした。中庭に面してリビングが配置され、2階をオーバーハングさせたことで天井のある屋外のデッキ空間(中間領域)が生まれた。この空間は屋外ではあるが、天井にはリビングの天井仕上げと同じ杉羽目板の上小材を仕上げとして使うことで、室内外の連続性が生まれるよう意図した。また、リビングとデッキ空間の断熱境界となるサッシは、高さ寸法を特注し天井までの高さとすることで「下がり壁」が出来ないよう配慮し、ノイズを取り除いたことで、より室内外がシームレスにつながる設計とした。
内部の造作家具は建築士でもある建主が3Dソフトで作った具体的なイメージを図面化・具現化している。初期計画の段階から建主と一緒に設計していくプロセスは楽しく、また室内の漆喰壁の一部を建主自らが塗るワークショップも行ったことで、作り手にとっても思い出深い住まいになったと思う。