こんにちは。営業設計の竹村です。
今日は「林業を応援する」というテーマで書いていきたいと思います。
今日のブログは長文ですが、ぜひ、最後までお読みいただけますと幸いです。
地産地消は、地域の資源や産業を活用しながら、自分たちの生活に必要なものを地元で生産・消費することを指します。ノモトホームズでは18年前、竹尾モデルハウス(現在は事務所移転に伴い解体済み)が完成した当初より、この考え方にもとづく家づくりを進めてきました。今でこそ地産地消は当たり前かもしれませんが、長年変わらず続けてきた取り組みです。
まずはこれまで取り組んできた、伐採見学ツアーの様子をご紹介。
伐採見学ツアーは、林業や森林をより身近に感じていただきたい、という想いで開催しています。
こちらは私が入社するかなり前の、2007年に開催された伐採見学ツアーの一コマ。
プレカット工場をご見学いただいています。左側に写る佐藤常務が若い!笑
山に入って、実際に伐採する様子を見ていただきました。
こちらは2008年開催の様子。当時からたくさんの方にご参加いただいています。
写真手前に見えるのは、加工時に出た柱や梁の端材です。ノモトホームズではこれらの一部をいただいて、薪ストーブの薪として活用しています。
こちらは2014年開催の様子。
見学ツアーなので、バスをお借りしてご案内させていただきます。森林の中で食べるお昼ごはんが、本当に最高なんです!
ここからが私も参加した伐採見学ツアーの様子です。こちらは2016年開催。
大きな木が倒れる瞬間は想像以上に迫力があって、まさに命をいただいているんだなぁと実感しました。
ここからは2019年開催の様子です。
さんぽくプレカット高橋さんによる木のクイズもあったりと、大変楽しい会でした。
こちらは切株の写真ですが、方位によって木の成長が違うのが面白いですよね。
前置きが長くなりましたが、なぜ地産地消が重要なのか、まとめてみます。
地産地消のメリット①森林の保全・循環につながる
木材を海外から買うのではなく、地域から買う事で地域の森林(山)を守り、健全な循環を持続させます。
間伐や主伐が行われていない放置された森林では、日光が行き届かず木がしっかり根を張らなくなり、土や水が安定せず斜面が崩れたり土砂が流れ出すという危険性が高くなります。
林業は農業とは違い、植えてから収穫まで50年前後という長い年月が必要になります。「おじいちゃんが将来生まれる孫のために木を植えてくれた」という話もありますが、つまり苗木を植えても自分の代では収穫できないケースがほとんどで、将来を担う若い世代のために木を植える(=適齢期の木を主伐する)必要があるわけです。
地産地消のメリット②地域の林業を守る
しかしながら、森林を守るためには適切な管理が必要で、そこには多くの人の手(産業や雇用)が必要です。地産地消の家づくりを行うことは地域経済の活性化につながり、地域の雇用や産業が活発化し、地元の資源を活用することで、地元の産業の発展にも寄与することができます。地域経済の活性化は、地元の暮らしや雇用環境を改善し、地域全体の発展に繋がります。ノモトホームズでは長年、山北木材加工協同組合さんと協同し、山北の山から伐採された木材を使った家づくりを行っています。
地産地消のメリット③地球温暖化防止につながる
年老いた木は二酸化炭素の吸収量が下がるため、50年程度で主伐し、樹齢若い木を植えて育てるという循環が持続的に行われることが、二酸化炭素の固定化につながり、地球温暖化防止の対策につながります。また、海外から木材を輸入する場合、輸送時に莫大な量の二酸化炭素が発生するため、地域材を使うほうが輸送に伴う二酸化炭素排出量を減らすことができます(ただし、木材の乾燥方法で天然乾燥と人工乾燥がありますが、新潟の場合は天候の関係で人工乾燥になりがちで、天然乾燥にくらべて人工乾燥の方が二酸化炭素排出量が圧倒的に多い、というのは知っておかないといけません)。
地産地消の家づくりを通して、未来に健全な森林を残していく義務があると感じています。住宅1棟あたりでは10~15㎥程の木材使用量ですが、地産地消の家づくりを通して地域の林業を応援し、自然環境の保全に貢献していきます。
最後に、林業を知る上でおすすめの映画と書籍をご紹介させていただきます!
映画好き竹村のおすすめ映画 『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』
こちらは2014年公開、染谷翔太さん主演の邦画で、ジャンル的には青春コメディといったところでしょうか。
大学受験に失敗した都会育ちの少年が、ひょんなことから林業研修に参加するのですが、林業の厳しい世界で揉みに揉まれ、挫折しながらも林業の楽しさや人の温かさを知り、成長していく、という内容なのですが、主人公を通して見る林業の厳しさや楽しさが伝わってくる素晴らしい映画です。地産地消や林業に興味をお持ちの方は、ぜひ見てみてください!
竹村のおすすめ書籍 『絶望の林業』
コロナ前に読んだので詳細までは覚えていないのですが、とにかく「林業厳しい!」「補助金漬け!」といった厳しい指摘が続く一冊です。「劇的なゲームチェンジが起こらない限り、日本の林業、無理ゲーだ・・・」と思わずにはいられませんでした。今の日本の林業を知るには必読かと思います。
最後の章「希望の林業」で、一筋の光的な解決策が紹介されていましたが、長年林業に携わってきた著者でさえ、なかなかざっくりとした提言にとどまっていたのは、林業の抱える複雑な問題や壁が大きすぎるからなのだと、再認識します。
紹介文を出版社の新泉社さんのホームページより、引用させていただきます。
(以下、こちらから引用)
「日本の林業は成長産業である」。
最近よく耳にする言葉です。その証左はどこにあるのでしょうか。そしていま、日本の林業現場で何が行われているのでしょうか?
補助金漬け、死傷者続出、低賃金、相次ぐ盗伐、非科学的な施策……。林業の現場には時代遅れで、悲惨な現状が隠されています。
若者の就労者が増えたことで、成長産業と期待されている日本林業。しかし、その実態は官製成長産業であり、補助金なくしては成り立たない日本の衰退産業の縮図といえます。
30年にわたり森林ジャーナリストとして日本の森、林業にかかわってきた田中淳夫だからこそ書けた、林業業界の不都合な真実に鋭く切り込んだ問題作
竹村のおすすめ書籍 『森林未来会議―森を活かす仕組みをつくる』
『絶望の林業』を読んだために「林業に希望を持ちたい!」という一心で読んだ一冊です。こちらは世界各地の林業の取り組みが紹介されていて、書籍の名前にあるように、希望を持てる内容でした。「林業に携わることに夢と誇りを持てる世にしていきたい」とあとがきにもあるように、林業の明るい未来について複数の著者の視点で論じられています。
紹介文を出版社の築地書館さんのホームページより、引用させていただきます。
(以下、こちらから引用)
これからの林業をどう未来に繋げていくか。
林業に携わる若者たちに林業の魅力を伝え、やりがいを感じてもらうにはどうしたらいいのか。
林業に携わることに夢と誇りを持ってもらいたい。
欧米海外の実情にも詳しい森林・林業研究者と林業家、自治体で活躍するフォレスターが
それぞれの現場で得た知見をもとに、
林業の未来について3年間にわたり熱い議論を交わした成果から生まれた一冊。