こんにちは。営業設計の竹村です。本日は前回のブログに引き続きまして、「住まいの価値」について書いていきたいと思います。
前回のブログで、住宅には「機能的価値」と「情緒的価値」があります!と書いておりました。これらの言葉は一昨年に初めて知った言葉ですが、ブランディングやマーケティングを考えるときに使われている言葉です。
「良い家ってどんな家?」というテーマは、設計者として常に考えている(考えるべき)命題みたいなものだと思っていますが、「機能的価値」と「情緒的価値」という言葉を知って、これら二つの価値を十分に満たすことが、良い家の条件なんだろうなぁと思うようになりました。ストンと腑に落ちた感じです。
機能的価値とは、商品の機能や品質に対する価値のことです。わかりやすいところだと「省エネ性能」「耐震性能」「断熱性能」「気密性能」になります。これらは構造計算や外皮計算、気密測定を行うことで、数値をもって根拠のある価値として評価することが可能です。
その他、「施工品質」「職人さんの技術力」も機能的価値になりますし、「暮らしやすさ」「使い勝手」も機能的価値として考えられます。これらは数値では評価できませんが、ある意味、相対的に評価できそうです。「これまで住んだことのある家(アパートや借家、実家)よりも〇〇だ!」とか、「友達の家よりも仕上がりがきれいだなぁ~」なんかがそれにあたるかもしれません。もちろん機能的価値は他にもあると思いますが、大きくはこんな感じでしょうか。
情緒的価値とは五感で感じる感覚的なもの、心地よさや癒しなどの精神的なものです。「障子に映る木の影がきれいだなぁ」「ほかの家よりも我が家が一番かっこいいなぁ!」「こうしてると心地よいなぁ」といったことが該当します。これらは数値化はできませんが、機能的価値と同じく、情緒的価値も設計で生み出すことが可能です。ファサードのデザイン、造園計画、プロポーションの検討、素材の選定、天井高さの操作、窓の取り方、ヒューマンスケールの導入などなど・・・
「住宅はコモディティ化している」と何度かブログでも書いていますが、機能的価値は(同じような価格帯の工務店であれば)横並びで、耐震等級2や3は今の時代、標準仕様にしているところがほとんどだと思います。断熱性能や気密性能も同じで、特に国としても住宅のZEH化を推し進めていますので、これから先ますます住宅の高性能化が進むと考えられています。つまり機能的価値では差別化しにくくなっていて、建主さんにとっても工務店やハウスメーカーの選定基準になりにくくなっていると思います。
つまるところ、機能的価値だけでは住宅会社を選定できないとすると、情緒的価値が重要になってきます。私は家づくりにおいて、機能的価値は当たり前に担保しながら、情緒的価値を大事にしたいと考えています。「素材のもつ美しさ」や「空間の豊かさ」「木の表情や匂い、漆喰の手触り」「庭のある暮らし」「愛着が沸く」など、五感に働きかけ、感性を刺激してくれる価値を、住宅に見い出したいと思っています。ちなみに最後の「愛着が沸く」はとても重要です。
「良い家ってどんな家?」という問いに対しては、「性能をしっかり担保した上で、情緒に訴えかけるような仕掛けを設計し、その上で愛着の沸く家」が答えになるのではないでしょうか。
話は変わりますが、最近「ブランド」についてよく考えています。ググったり本を読んだり。ブランドという言葉の捉え方はいろいろありまして、「商品やサービスを顧客に想起させる重要な要素」なんかが多いと思います。本当にいろんな考え方があるのですが、一番私が腑に落ちたのはキングコング西野さんが言う「ブランド=約束、信用」という考え方でした。
例えばホテルオークラは親切丁寧な接客やくつろぎが約束されていますし(泊ったことはありませんが)、プリウスは燃費性能が約束されています。Apple製品は直感的な使いやすさとデザインが約束されています。「このメーカー(あるいは企業)を選べば自分が必要としてるサービスが約束されている(約束を破らない)」というのがブランドたる重要な要素なわけです。
最後にまとめますと、、、家づくりをご依頼いただく建主さまのために、2023年は「ブランド=約束」を意識し、選んで良かった!と言っていただけるよう、「機能的価値」と「情緒的価値」を併せ持った住まいをご提供できるよう、さらに邁進したいと思っています。
無理やり感満載なまとめ方になってしまいましたが、、、これから家づくりをお考えの方は、「機能的価値」「情緒的価値」という言葉を「どこかで聞いたな~」くらいでも大丈夫ですので、覚えておいていただいて、少しでも家づくりの参考になりましたら嬉しいです。