今日のブログでは、窓について書いていきたいと思います。
明るいLDKか、暗めのLDKか
住空間に必要な要素として、どのように外部の光を取り入れるかが大事です。
光の取り入れ方も様々です。
一番簡単なのは窓の操作で、
掃き出し窓、腰窓、天窓、ハイサイドライト、地窓、さまざまな種類を組み合わせます。
また、これに障子やカーテンといった、光を拡散・遮断するような内部の設えもあり、
柔らかい光にしたいか、明暗のコントラストを付けたいかで選択していきます。
また、外構を考えると、障子に樹木の影を映しこんだり、池や手水鉢等の水盤に
太陽光を反射させて、その反射光を室内の天井に揺らぎとしてを映す・・・
なんていう粋な設計手法もあったりします。
日中、明るいLDKがお好みの方は、鳥屋野南モデルハウスの様に、大きな開口を取って、
たっぷりと自然光を室内に取り入れます。
吹抜けを設けて、吹き抜けのハイサイドライトも組み合わせると
非常に明るい室内になります。
これは南側の敷地スペースに余裕がなく、家混みの場所では非常に有効な手法で、
1階だけでは南側の日射が不十分な敷地ではメリットがあります。
逆に、ちょっと薄暗めで落ち着きのある静寂な室内がお好きであれば、
開口の面積を絞ったり、北側に窓を取ることで室内に入る光の量を
コントロールすることができます。
ただし、これはパッシブ設計の観点で考えればいまいちです。
パッシブ設計を行う場合は、冬場は南側の日射をたっぷりと取り入れるために
南側の窓を最大化しますので、おのずと明るい室内になります。
余談ですが、以前、建築家の伊礼智さんの住宅を見学させていただいた際、
伊礼さんは南側の開口面積を絞った、明るすぎない室内が良いという考えでしたが、
伊礼さんと一緒に温熱設計された方は南側の窓をもっと取りたかったようで、
ちょっと明るすぎる空間になってしまった!とおっしゃられていました。
北側の景色は美しい!
先ほど、北側の窓の話に触れましたが、北側は直射日光が入りませんので、
終日安定した穏やかな自然光を得ることができます。
ですから美術館の開口部は、北側に取ることが多いですね。
北側の窓から見える景色は、逆に言うと南側からの太陽光をたっぷりと受けていますので、
非常に美しく見えます。
我が家の北側の窓も、道路向かいの隣家のきれいに手入れされたお庭を借景にしています。
日中緑がとってもきれいで、北側の窓の良さ、順光を受ける庭の美しさを実感しています。
天窓は一戸建て住宅の特権!
窓の中でも特殊な窓といえば、天窓ではないでしょうか。
天窓は一戸建て住宅ならではの特権だと考えています。
マンションやアパートではなかなか見かけないですよね。
それこそ、私の自宅で唯一後悔していることが天窓を付けなかったことです!
予算の関係でやめたのですが、今思うと「天窓があればよかったなー」と痛感しています。
そんな話があって、以前打ち合わせ最中に天窓を追加いただいたのが、
山二ツの家の建主さま。
見てください、この最高の空間を・・・
光の落ち方、左官壁との相性も抜群です。
「光井戸」という言葉が設計業界の中でありますが、まさに文字通りですよね。
天窓は、予算的には15~20万円くらいの増額でしょうか。
メリットもたくさんありますが、もちろんデメリットもあります。
一つ目は、雨漏りのリスク。
ルーフィングという屋根の防水シートに穴を開けるわけですから、
リスクはどうしてもゼロにはなりません。
もちろん、屋根仕上げとの取り合い部分の雨仕舞の徹底、
メーカーサイドでの商品性能の向上等、
雨漏りに対しての対策は日々行われておりますが、ゼロではないことはご確認ください。
それと温熱的には、開口部なのでウィークポイントとなります。
これも、分厚い屋根断熱にぽっかりと穴を開けますので、
夏場の日射による日射取得で、室内の温度が上がることもあります。
ただ、それらの(確率的にもかなり低い)デメリットにも代えがたい魅力が、
天窓にはあります。
夜、たまには電気を消して夜空を見上げ、星を見るのも良いでしょう。
雲が流れていくのをぼーっと見るのも良いでしょう。
ふとした瞬間に感じる、美しく光が差し込む我が家の様子は、
幸せなひと時にもなりますし、愛着もますます生まれる事でしょう。
最後に・・・
住宅の設計とは、外部との関係づくりが一番の根幹を成す部分で、
究極を言えばそれ以外に無いかもしれません・・・
敷地で一番気持ちの良さそうな位置に、主要な居場所である
リビングやダイニングを配置しますし、朝日が入るダイニングや寝室を考えていきます。
風通しを考え、風の抜け道を作っていきます。
眺めの良い場所には窓を設け、室内にいても外部を感じられる場所を作ります。
窓を考えることは、そこでの建主さまの暮らしを考えることだと思っています。